中小企業が陥る事業拡大の壁と組織化戦略|成長を3倍にする9つの施策

2025.11.20

目次

中小企業が陥りやすい事業拡大の壁とは?

事業拡大に成功し始めた中小企業は、あるタイミングで同じような壁にぶつかります。

売上は右肩上がりなのに現場は常にバタバタしている。

採用しても人が育たず、結局は社長が前線に出て数字を作っている。
こうした状態が続くと、どこかで成長カーブが止まって先に進めなくなります。

この状態こそが事業拡大と組織化の壁です。

事業規模が小さいうちは、社長の判断と行動力でなんとかなります。

ところが売上や社員数が増えても、
組織の仕組みづくりや役割分担が追いついていないと、社長の負担だけが増えていきます。

すると経営者は、
「もっと売れるはずなのに、なぜ組織が回らないのか」というジレンマを抱えるようになります。

この状態を放置すると、現場の疲弊、採用難、離職、品質低下など、さまざまな問題が連鎖していきます。

売上の伸びに組織が追いつかない理由

売上が順調に伸びているのに社内は混乱している。
そんな企業には共通するパターンがあります。

1つは、仕事のやり方が人に依存していることです。

経験の長い社員や社長本人だけが業務の全体像を理解しており、他のメンバーはその場その場で指示を受けて動いている。

マニュアルなど手順が整っていないため、人が増えても生産性が上がらないのです。

2つ目は、事業拡大と組織化を別々のテーマとして捉えてしまっていることです。

売上を上げる施策は打っているものの、その裏側で支える組織設計や仕組みづくりが疎かになりがちです。

新しい案件は増えているのに担当できる人がいない。
忙しさに追われて育成の時間が取れない。

この悪循環が続くと「売れば売るほど苦しくなる」という矛盾を抱えるようになります。

社長一人の限界が訪れる「30人の壁」とは?

多くの中小企業で語られるのが、
社員数がおよそ30人前後になったときに訪れる壁です。

規模としてはそれなりに大きくなっていますが、社長が全員の顔と仕事を細かく把握できる限界が、このあたりの人数だと言われています。

ここを越えると、経営者一人の気合と根性だけでは事業拡大を続けることが難しくなります。

社員が数人の頃は、毎日のように全員と会話ができて仕事の状況も感覚的に掴めます。
しかし人数が増えて拠点や部署が増えると、社長の目が届かない領域が必ず生まれます。

本来であれば、このタイミングで中間管理職に責任と権限を渡していく必要があります。
ところが準備のないまま事業拡大を進めてしまうと、社長の所にあらゆる決裁事項が集中して意思決定のスピードも落ちていきます。

この「30人の壁」を越えられるかどうかは、
事業拡大と組織化を同時に進められるかどうかにかかっています。

逆に言えば、ここで正しく組織化に取り組めば次の成長ステージへスムーズに進むことができます。

属人化が続くと発生する3つのリスク

組織化が進まず、
仕事が特定の人に依存したまま事業拡大が続くと、目に見える形でリスクが表面化してきます。

1.業務品質のバラツキ

やり方が人それぞれ違うため、
顧客によってサービスの質や対応スピードに差が出てしまいます。

これはブランドの信頼をじわじわと傷つける要因になります。

2.人材の疲弊と離職

できる人に仕事が集中して、その人が限界まで働くことになります。
教える余裕もなく常に現場対応に追われる状態が続くと、優秀な社員ほど先を見て転職を考えるようになります。

すると人とノウハウが会社から抜けてしまい、残されたメンバーの負担はさらに重くなっていきます。

3.経営の意思決定が遅くなる

属人化が進んだ組織では、
現場から正しい情報が上がってきません。

社長は勘と経験に頼って判断をせざるを得ず、事業環境の変化への対応が遅れます。
やがて競合にシェアを取られて「売上はそこそこあるのに、なぜか伸び悩む会社」になってしまいます。

このように事業拡大と組織化は切り離せないテーマです。

売上を伸ばす事と同じくらい、組織の仕組みを整えることに意識を向けることが大切です。

事業拡大を妨げる!組織化できない理由


事業を大きくしたいのに、組織が思うように整わない。

そんな状態には、いくつかの根本的な理由があります。
どれも経営者自身は気付きにくいものですが、ここを理解することで組織化の第一歩がぐっと進みます。

組織が育たない具体的な背景には、

  • 仕事が個人のスキルに依存していること
  • 判断が社長に集中していること
  • 育成の仕組みが整っていないこと

などが大きく影響しています。

仕事が個人のスキルに依存している

現場で起きている多くの問題は、
仕事のやり方が人それぞれに違うことから生まれています。

長く働いている社員は自分なりの方法で業務をこなして、新しく入った社員はその場で聞いたことだけを頼りに動いている状態です。

これでは業務が再現されず、誰が担当するかで成果に差が出てしまいます。

こうした属人化の背景には手順や判断基準が言語化されていないという問題があります。

見れば分かる、やれば覚える、といった感覚に頼って仕事が広がっていくと、人数が増えたときに必ず限界が来ます。

経験豊富な社員が抜けた途端に現場が止まる、品質が落ちる、引き継ぎが進まない。
これらはすべて、人に依存したやり方が原因です。

事業拡大を進めるためには、
誰が担当しても同じレベルで成果が出せるように、業務を見える形に整えることが欠かせません。

判断が社長に集中している

多くの中小企業では、最後の判断が社長に集まる構造になっています。
社員は判断に迷うたびに社長へ相談し、社長は次から次へと決断を迫られていきます。

規模が小さいうちはこれでも回りますが、
事業が大きくなると社長の時間がいくらあっても足りなくなります。

この状態が続くと、現場の判断スピードが落ちるだけでなく社員が主体的に動けなくなります。
自分で決める経験がないまま業務を続けるため、スタッフ1人1人の責任感が育ちません。

その結果、社長の所にさらに相談が増え、負担は増す一方になります。

判断を手放せない理由として多いのは、
過去に任せた結果うまくいかなかった経験です。

しかしこれは任せ方の問題であり、社員の能力とは限りません。

本来であれば、
判断基準の共有や権限の線引きを行えば、判断を分散させることができます。

ここが整えば、
社長は未来のことを考える時間を確保できるようになります。

育成の仕組みが整っていない

人が育たない、定着しないという悩みは、育成が属人的になっている事が原因です。
忙しい現場では教える時間が十分に取れず、結果として経験の差がそのまま成果の差となって表れます。

新人は仕事を覚えるまでに不安を抱え、ベテランは教育に追われ、どちらも負担を感じるようになります。

育成が仕組み化されていないと、
どれだけ採用しても人材が戦力化せず、社長や一部の社員の負荷が増えていきます。

本来は、どの社員が教えても同じレベルで育つ仕組みを整えることで、人材の成長スピードは大きく変わります。

動画、チェックリスト、業務マニュアル、ロールプレイングなど、育成の型があるほど早く自立し、自分で考えて動けるようになります。

事業拡大を成功させる企業は、
例外なく「人が育つ仕組み」を早い段階で整えています。

逆にこの部分が弱い企業ほど、
売上は上がっているのに組織が追い付かず、成長が途中で止まってしまいます。

中間管理職が育たない企業の共通点

中小企業でよく聞かれる悩みの1つが、中間管理職が育たないという問題です。

現場の中心となって社員を導くはずのミドル層が育たない背景には、いくつかの構造的な理由があります。

個人の努力不足ではなく、
会社の仕組みそのものに原因が潜んでいることが多いため、ここを理解することで改善の方向が見えてきます。

特に中小企業では人が少ない分、一人ひとりの役割が重く、その分ミドル層への負担が大きくなる特徴があります。

結果として中間管理職が疲れ切り、育つ前に離れてしまうケースも少なくありません。

権限委譲できない原因

権限を渡したいのに渡せない。こうした状況には必ず理由があります。

社長は過去に任せて失敗した経験や、品質が落ちる不安から、つい判断を自分の手元に集めてしまいます。

それが続くとミドル層はいつまで経っても判断の練習ができず、主体性も鍛えられません。
任された経験がないまま役職だけが上がれば、負荷と責任のギャップに不安を感じるようになります。

権限委譲が進まない企業では、
判断基準が言葉として整理されていないことが多いです。

どこまで自分で決めてよいのか、
どのラインを超えると社長へ相談するべきなのか、その境界が曖昧なままです。

基準がない状態で権限だけ渡されても、ミドル層は怖くて行動できずに結果として社長に頼る形が続いてしまいます。
権限を渡すためには、基準とルールをセットで整えることが大切です。

ミドル層が板挟みになる背景

中間管理職が育たないもう一つの大きな理由は、ミドル層が常に板挟みになる環境です。

上からは成果や改善を求められて下からは悩みや不満が集まり、どちらにも応えようとして体力と気力がすり減っていきます。

責任は重いのに、
権限や情報が足りないまま現場を回すことを求められるケースが多く見られます。

これが長く続くとメンバーを導く余裕を失ってしまいます。

さらに会社の方向性が明確でないと、何を軸に判断すれば良いのか分からず迷いが増えます。

現場の声と経営の意図の間で揺れ続ける状態では、主体的な行動は生まれません。
中間管理職は本来会社を支える中心となる存在です。

しかし、この層が力を発揮するためには、

  • 明確な方針
  • 判断基準
  • 経営層からの信頼

が欠かせません。
これらが不足すると、板挟みの状態が日常となって成長するどころか疲れ果ててしまいます。

事業拡大を成功させる組織化戦略の全体像


事業拡大を成功させるには、売上だけを追いかけても実現しません。
大切なのは経営者の頭の中にある構想を、組織全体の仕組みとして形にしていくことです。

事業拡大と組織化は、別々のテーマではなく一体で考える事をオススメします。

ここでは経営理念を起点に組織を設計して、

  • 仕組み
  • 組織文化
  • 戦略

の4つの基盤で支える全体像を整理していきます。

経営理念を基点にした組織設計の重要性

事業拡大が進むほど、目の前の売上や数字に意識が向きがちです。

しかし中長期で見ると、拡大のスピードを決めるのは理念を軸にした組織設計です。
なぜなら経営者が何を大切にして、どの方向に進むのかを決めるのが理念だからです。

理念を基点に組織を設計していくと、

  • 採用する人材の基準
  • 人事評価の考え方
  • 育成の方針
  • 権限委譲の仕方

これらが一本の線でつながります。

これがないまま事業拡大を進めた場合、優秀な人が入っても組織の価値観がバラバラなので、チームとして力を発揮しにくくなります。

結果として社長や役員が現場に入り続けないと数字が止まる状態から抜け出せません。

逆に理念が基点になっている会社では、中間管理職も現場のメンバーも同じ物差しで判断できます。

新規事業を立ち上げる、拠点を増やすなどの場面でも理念に照らして意思決定ができるため、事業拡大と組織化が同じ方向で進められます。

事業拡大や組織化を両立させる上で、事業理念は最初に策定しましょう。

変化に適応できる柔軟な組織文化づくり

一度決めた戦略を守り続けるだけでは変化に対応できません。
変化にいち早く気づき、素早く動けるチームかどうかが業績の差になります。

そのためには、仕組みだけでなく変化に適応できる柔軟な組織文化が欠かせません。
柔軟な組織文化とは、失敗を過度に責めず学びに変えて次に進もうとする空気があることです。

また現場からの提案を歓迎して、役職に関係なく意見が出せる雰囲気も重要です。
このような文化があると、ミドル層も現場も自分事として改善案や新しいチャレンジ方法を考えるようになります。

一方で変化に消極的な組織文化のまま事業拡大だけを進めると、組織への負荷が一気に高まります。

新しい取り組みを増やしても社長と一部のメンバーしか動けずに、やがて限界が訪れます。

事業拡大と組織化を成功させる会社は、制度や手順を整えるのと同じくらい組織文化づくりにも意識を向けています。

日々の会話、会議の進め方、失敗への向き合い方など、目に見えにくい部分が実は変化への強さを支えているのです。

組織を支える4つの基盤(人・仕組み・組織文化・戦略)

事業拡大を続けながら組織化も進めていくためには、バランスよく4つの基盤を整備する必要があります。
それが、人・仕組み・文化・戦略の4つです。

1.人の基盤

どんな人を採用して、どのように育成し、どこまで任せていくのかを設計します。
事業拡大だけを急ぐと、人を「数」として見てしまいがちですが、本来は理念に共感して自走できる人を増やすことが重要になります。

2.仕組みの基盤

誰がやっても同じ品質で仕事が進むようにする為の流れやルールです。
営業の流れ、見積もりの通し方、案件管理の方法などを標準化していくことがポイントです。

そうすれば属人化している業務が減って、中間管理職が育ちやすい環境をつくれます。

3.組織文化の基盤

会社の空気感や振る舞いなどです。
数字だけで人を見るのか、プロセスや挑戦も含めて評価するのかによって社員の行動は大きく変わります。

事業拡大と組織化の両方を実現するには、挑戦と学びを評価する文化が不可欠です。

4.戦略の基盤

どの市場で、どの顧客に、どの価値を届けていくのかを決める事です。

戦略が曖昧だと、いくら人と仕組みに投資しても噛み合いません。
逆に戦略が明確であれば、どの施策に投資すべきか、どの部門を強化するのかが見えてきます。

4つの基盤は、どれか一つだけを強くすれば良いものではありません。
人だけ育てても、仕組みがないと成果が継続しません。

戦略だけ立派でも、組織文化が追いつかないと現場は動きません。
事業拡大を本気で進めたい経営者ほど、人・仕組み・文化・戦略をセットで見直し、少しずつでもバランスを整えていくことが大切です。

成長を3倍にする9つの組織化施策


事業を大きく伸ばす会社には、共通して土台となる「組織化の型」があります。
ただ売上を追うだけではなく、組織として成長する力を高めることで成長が加速するからです。

ここでは、中小企業が3倍の成長スピードを実現するために欠かせない9つの施策を詳しく見ていきます。

1.経営理念の見直しと再定義

事業のステージが変わると、求められる組織の在り方も変わります。
創業期のままの理念では、社員数が増えたときに方向性がブレやすくなります。

そこで必要になるのが、成長段階に合わせた理念の見直しと再定義です。
理念の再整備で、採用、育成、評価、権限移譲の基準が揃い、組織全体の判断が一本になります。

成長ステージに応じた理念の再構築

理念の再構築は単に言葉を変える作業ではありません。
市場環境、自社の強み、これから取りたいポジションを踏まえて「何を大切にし、どの未来を目指すのか」を改めて言語化する作業です。

このプロセスを経ると、社員が理念を自分ごととして理解して新しい挑戦にも前向きに動けるようになります。

2.組織図と責任範囲の明確化

事業拡大が進むほど、誰が何を担当するのかが曖昧になりやすくなります。
責任範囲が1人に重なると、ミスや抜け漏れが増え、結局社長が最後に確認しなければならないという負担が生まれます。

組織図を整えることは、単なる形式ではなく業務の流れを可視化し、役割を明確にするための重要な工程です。

どの役割にどんな責任があるのかを明確にするだけで、現場は動きやすくなり仕事のスピードも上がります。

3.権限委譲とマネジメントラインの整備

社長がすべてを決め続ける状態では、組織は大きくなれません。

事業拡大と組織化を両立するには、権限と判断基準をミドル層に渡してマネジメントラインを整えることが不可欠です。

権限委譲が進むと、社長が現場から離れられるだけでなく社員の成長スピードも一気に上がります。
ミドル層がしっかり育つと、現場の判断が早くなり顧客への提供価値も向上します。

4.評価制度への理念の組み込み

評価制度は社員の行動を決める大きな要素です。
数字だけで評価すると、短期成果だけを追いかける文化が生まれて長期的な成長に繋がりにくくなります。

理念を評価制度に組み込むことで、成果とプロセスのバランスが整い、社員が大切にする価値観が統一されます。

挑戦や改善に向き合う姿勢を評価することで、組織全体の行動が自然と理念に沿った方向へ進んでいきます。

5.中間管理職の育成プログラム

事業拡大がうまくいく会社ほど、ミドル層が育っています。
中間管理職が育てば、社長の負担は大きく減って組織として判断の質が上がります。

育成プログラムでは、

  • 管理職として必要な考え方
  • 数字の見方
  • 育成の方法
  • 会議の運営
  • 任せ方

の基準などを体系的に学べるようにします。
現場の経験だけに頼るのではなく、学びと実践をセットにして進めることが大切です。

6.社内ポータルを用いた情報の一元管理

事業拡大に伴い、情報があちこちに散らばるとミスや伝達漏れが増えます。
そこで必要なのが社内ポータルを使った情報の一元管理です。

  • お知らせ
  • マニュアル
  • 申請
  • FAQ
  • 案件の流れなど

これらを1か所にまとめれば、社員が迷わずに仕事を進められるようになります。

情報が整理されると新人の成長スピードが早くなり、ミドル層の負担も軽くなります。
事業拡大と組織化を支える重要な施策の1つです。

7.事業拡大に適した仕組みの標準化

事業を広げるときに欠かせないのが、仕事のやり方を標準化することです。
営業の流れ、業務の手順、顧客対応の進め方などを共通化すれば、誰が担当しても一定の品質が保てるようになります。

標準化が進むと、属人化された業務が減って再現性が高まります。
拠点を増やす時や新人が入る時も、スムーズに育成ができる点が大きなメリットです。

8.心理的安全性を高める組織の文化づくり

社員が安心して意見を言えない組織は成長が止まります。
心理的安全性の高い環境では、ミスを隠さずに共有できて改善のスピードが上がります。

また役職に関係なく建設的な意見が出ることで、組織全体の気づきが増えます。

心理的安全性は、ルールではなく日々のコミュニケーションで作られるものです。
事業拡大と組織化の両方を進める上で欠かせない施策です。

9.継続的改善(PDCA)を回すための仕組み

成長する会社ほど小さな改善を積み重ねています。
仕組みを整えた後も改善が続くように、PDCAを回す習慣作りが必要です。

会議や定例の場で改善点を共有して、次の一手を明確にすることで組織全体が自走し始めます。
改善が継続する仕組みがあると、事業拡大のスピードが落ちずに競争力も維持できます。

組織化を加速させる仕組み構築のポイント


事業を大きく伸ばすには経営者の想いだけではなく、組織が自然と前に進む「仕組み」が欠かせません。
仕組みが整うと社長が指示をしなくても仕事が回り、社員が自ら判断して動けるようになります。

ここでは組織化を加速させるための要となる3つの視点をご紹介します。

1.社員が自走するための環境デザイン

社員が自走できる組織には共通して「動きやすい環境」があります。

やるべきことが分かりやすく、迷わずに判断できる状態が整っているからです。
まず大切なのは、業務の流れや判断基準を見えるようにすることです。

何を優先して、どんな判断をすればよいのかが分かれば社員は自信を持って動けます。

その上で、挑戦が自然に生まれる空気を作ることも必要です。

失敗を責めるのではなく、気づきを共有し、改善につなげる文化があれば社員は安心してチャレンジできます。

環境が整うほど、社員は主体的に動くようになり組織も成長していきます。

デジタル活用とのバランス

仕組み化を進めるときに、
デジタルツールを導入すればよいと考えるケースがありますが、ツールを入れるだけでは成果に繋がりません。

大切なのは業務の流れを整理した上で、どこにデジタルツールを使うと効果が高いかを見極めることです。

本当に必要なのは、人の判断とデジタルの効率化のバランスです。
たとえば情報共有はデジタルでまとめ、判断やコミュニケーションは人が担うといったように、役割を分けることで仕組みが上手く働きます。

使うデジタルツールが目的に合っていれば、仕事のムダが減り、組織の成長スピードも上がります。

現場と経営のギャップを埋めるコミュニケーション

事業が大きくなるほど、現場と経営の間に見えないギャップが生まれます。

経営は全体を見る一方で、現場は日々の業務に集中しています。
そのため同じ方向を向いているつもりでもズレが出てしまうのです。

このズレを放置すると指示が伝わりにくくなり、改善が進まない状態が続きます。

ギャップを埋めるには、情報が上にも下にも通じやすい仕組みが必要です。
定例ミーティングの実施や社内ポータルに意見を集める場所を作ったりすることで、現場の声が経営層に届きやすくなります。

経営層も意思決定の理由を丁寧に共有することで、現場の理解が深まり組織が一つの方向に進みやすくなります。

事業拡大と組織化を同時に進めるための実践ステップ

事業の成長スピードが上がるほど、組織づくりは後回しになりがちです。

しかし事業拡大と組織化は切り離せません。
どちらか一方だけ進めても、いずれ限界が来てしまいます。

ここでは、2つを同時に進めるためのステップをご紹介します。

現状分析とボトルネック特定

組織化を進める前に、今どこに問題があるのかを明確にすることが必要です。
売上が伸び悩んでいるのか、人の動きが止まっているのか、情報が整理されていないのか。

何がボトルネックになっているのかを見つけることで、どこから手をつけるべきかが分かります。

分析の際は経営者の感覚だけで判断せず、現場の声にも耳を傾けることが大切です。
情報が遅れているのか、役割が重なっているのか、判断に迷う場面が多いのか。

現場が困っている所ほど、組織の成長を止める原因になっています。
客観的に現状を見つめることで、改善の優先順位が決まり動きやすい状態になります。

小さな仕組みから導入して全社に展開する

いきなり大きな仕組みを入れようとすると、現場がついてこれずに結果として負担だけが増えるケースがあります。
成功する企業は、まず小さな仕組みから始めて上手くいったものを全社に広げています。

たとえば情報共有のやり方を一つ整備する所からでも効果はあります。
毎日の報告を簡単にしたり、会議を短くするためのルールを定めたり、判断基準を明確にするだけでも組織の流れは大きく変わります。

上手く回る仕組みが一つ増えるたびに、次の改善が進めやすくなって自然と全社に広がっていきます。

小さな成功体験を積み重ねることで、社員も仕組みに対して前向きになり自走する文化が育ちます。
これが全社展開の一番の近道です。

組織成長のスピードを高める実行ロードマップ

事業拡大と組織化を同時に進めるには、行き当たりばったりではなくあらかじめロードマップを描くことが大切です。

どの順番で仕組みを入れて、いつまでに整えるのかを決めておくと進み方がハッキリします。

具体的には、まず最初に役割の整理と情報の流れを整備するフェーズがあります。
次に評価制度や権限委譲など、より深い組織づくりへ進みます。

最後に現場と経営が1つの方向を向いて動けるように、組織文化やコミュニケーションを調整します。

このロードマップがあれば、社員の理解も得やすくなり組織全体のスピードが上がります。
行動の順番が見えるため、無駄な動きが減り経営者の負担も軽くなります。

経営者が避けるべき落とし穴と正しいマインドセット


どれだけ仕組みが整っていても、マインドセットが過去のままでは組織が前へ進みにくくなります。
ここでは組織の成長を止めてしまう落とし穴と、成長ステージに合った考え方を整理します。

経営者が「手放す」ために必要な考え方

事業が軌道に乗るほど、経営者がやるべき仕事は変わっていきます。

しかし多くの社長が「現場を手放すこと」に苦手意識をもちます。
理由は自分がやったほうが早い、任せたときのリスクが怖い、品質が落ちる心配があるなど、気持ちの面が大きいからです。

手放すためには、「全部を任せる必要はない」という考え方が大切です。

最初は部分的に任せるところから始め、少しずつ範囲を広げれば安心して移行できます。
そして失敗を成長につなげる考え方が必要です。

手放すことは責任を投げるのではなく、社員が育つためのスペースを作る行為でもあります。
経営者が視点を変えれば、社員は動きやすくなり組織の成長スピードが一気に高まります。

属人化経営から脱却するための視点

属人化を脱却するための第一歩は、「自分の成功体験が組織の足かせになることがある」ということです。

過去に上手くいったやり方でも、組織が大きくなると通用しなくなる場面が増えます。
それにもかかわらず、経営者が細かな判断まで抱え込んでしまうと、現場は動けず事業の成長が止まってしまいます。

脱却するためには、自分のやり方を仕組みに落とし込む事が大切です。
言語化すれば社員が自分の力で動けるようになり、判断の基準も明確になっていきます。

またすべてを自分中心で回すのではなく、組織全体で同じ方向を向く仕組みを作ることが大切です。
情報の流れや権限の渡し方を整えることで、属人化のリスクは大きく減ります。

組織の成長を妨げる4つの典型パターン

組織が育たない企業には共通したパターンがあります。

  1. 経営者が判断を抱え込み続けてしまう
  2. 役割が曖昧なまま事業が進む
  3. 現場の声が経営層に届かずズレが広がる
  4. 安心して働ける雰囲気でない

これらのパターンを早い段階で理解して、対策を取りましょう。
成長のスピードが大きく変わります。

組織が上手く回り始めると、事業の伸びも自然と加速していきます。

まとめ|組織化によって事業拡大は“再現性のある成長”へ変わる

事業が大きくなるほど、社長一人の力ではどうにもならなくなります。

ここまで見てきたように、
成長の壁にぶつかる多くの企業は、仕組み化や組織作りが後回しになりがちです。

しかし組織化は事業拡大の途中で必ず必要になる要素であり、早い段階で取り組むほど伸びしろは大きくなります。

仕組みが整い、社員が自走し始めると事業は社長の時間に左右されず成長していきます。

組織化は「社長が自由になる」唯一の道

経営者が本当にやるべきことは、現場の細かな判断ではありません。

未来を描き、会社の方向を決め、事業を次のステージへ導くことです。
そのためには、社長が手放し、任せ、育てることが欠かせません。

組織化は社長が自由な時間を取り戻して、会社づくりに集中できる唯一の道です。

社員に仕事を任せても、品質が落ちないように仕組みを整えることで、経営者の不安は大きく減ります。

そして責任を分散しながら、組織全体で成果をつくる体制へと自然に変わっていきます。
社長が抱え込む経営から脱却すると、事業の成長スピードは一段と速まります。

9つの施策を実行することで得られる未来

今回紹介した9つの施策は、どれも単発の取り組みではなく、組織の骨組みを強化する為のものになっています。

  1. 理念の再定義
  2. 組織図の作成
  3. 権限委譲
  4. 評価制度の策定
  5. ミドル育成層の育成
  6. 情報の一元管理
  7. 仕組み化
  8. 組織の文化づくり
  9. 継続改善

この9つが繋がることで、組織は安定して再現性ある成長が実現します。

施策を1つずつ進めると、次第に社員の動きが変わって改善のスピードが速くなります。
社長が現場に張り付かなくても事業が回る体制が整うと、経営に使える時間が一気に増えます。

そして事業拡大に向けて新しい挑戦をしたり、ブランドを磨いたりと未来に向けた投資が出来るようになります。

組織化は「時間が出来てからやるもの」ではありません。
「やるから時間が生まれる」取り組みです。

この記事で整理した考え方と施策を実行すれば、事業は再現性ある成長へと変わって社長も会社も次のステージへ進む準備が整います。

この記事を書いた人

代表取締役 荒井和也
代表取締役 荒井和也
中小企業の経営者向けに、事業相談を300社以上行う。事業を構築しながら社員が自走する体制を作れる 「事業の仕組み化」を業界20年以上の経験を活かして支援している。